Grafana Labs 初のエグゼクティブ・ブリーフィン グ・センター、銀座に開設準備中

Grafana Labs 初のエグゼクティブ・ブリーフィン グ・センター、銀座に開設準備中

2026-03-241 min
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Grafana Labsには、本社オフィスがありません。2014年の創業以来、ずっとリモートファーストです。

3人の共同創業者がそれぞれ別の大陸に住んでいたことから始まり、いまでは50カ国以上にメンバーが広がりました。創業初日から、全員がリモートで働く前提で組織を設計。リアルタイム会議は最小限にし、ドキュメントで情報を共有し、「自律的に働くこと」を信頼するカルチャーを育ててきました。オープンソースの透明性と自律性が、その根っこにあります。そんな私たちが今、東京・銀座に世界初のエグゼクティブ・ブリーフィング・センター(EBC)をつくろうとしています。

リモート中心の会社が、リアルな場を持つ。そこにはどんな意味があるのか。本記事は、EBC開設プロジェクトを追う全3回シリーズの第1回です。構想の背景から物件選定、設計思想、そして解体工事の現場まで、そのプロセスをお届けします。


「オフィス」ではなく「EBC」をつくる

私たちはこの場所を「オフィス」とは呼びません。Executive Briefing Center(エグゼクティブ・ブリーフィング・センター)、略してEBC。

リモートファーストの企業なので、決まった場所に毎日出勤する必要はない。でも、Grafanaというプロダクトに直接触れてもらえる場所、お客様やコミュニティと同じ空間で技術を体験できる場所は、これまでグローバルのどこにも存在していませんでした。EBCが目指す役割は、3つあります。

プロダクト体験の場

お客様にGrafanaのソリューションを直接触れていただき、デモやブリーフィングを通じて、オブザーバビリティがどのように課題を解決するかを体感してもらう。画面越しではなく、同じ空間で対話しながら。

イノベーションの起点

固定されたレイアウトではなく、目的に応じて形を変えられる柔軟な空間設計で、新しいアイデアやユースケースが生まれる拠点にする。

コミュニティのハブ

ミートアップやテクニカルイベントの会場として開放し、Grafanaのコミュニティに集う人々が自然に立ち寄れる場所にする。

世界初のEBCを、日本につくる。日本市場で急速に広がるオブザーバビリティの需要に応えるために。そして、既に国内に存在するGrafanaコミュニティにとって、物理的な拠点ができることの意味は大きいと感じています。

世界中の社員が自律的に動くGrafana Labsだからこそ、対面でしか生まれない体験のために場所を用意する価値がある。開放的で、私たちのそばにいると感じられる。そんな空間を目指しています。

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物件選定 ── カルチャーを体現する空間

場所に求めた2つのこと

物件探しが始まったのは、2025年4月頃のこと。カントリーマネージャーのAndy Schwabecher(アンディ・シュワベッカー)を中心に、複数のエリアを見て回りました。選定にあたって、前提条件が2つありました。

1つ目は、Grafana Labsがお客様にとって「すぐそばにいる存在」だと感じられる場所であること。開けていて、アクセスしやすく、気軽に足を運んでもらえる。Grafanaというソリューションに自然に触れてもらえる場所。セキュリティゲートをくぐり、受付で手続きをして……という動線ではなく、もっとオープンに。お客様が「ちょっと寄ってみよう」と思えるような建物である必要がありました。

2つ目は、Grafana Labsの働き方そのものを体現できる空間であること。そもそも私たちにとって「オフィス」という概念は、日本の一般的な企業とはまったく異なります。決まった席に毎日座るような場所ではなく、リモートファーストの働き方と矛盾しない、開放的で自由度の高い空間でなくてはならない。スケルトン天井にも対応でき、既存のオフィスの「型」に収まらないつくりができること。

この2つを同時に満たす場所は、なかなか見つかりませんでした。


一度は埋まり、巡り巡って手に入った物件

2025年の夏頃、銀座のビルが仲介業者から紹介されました。内見の段階でチームの評価は高く、条件にも合致していた。でも、検討しているうちに他のテナントに先を越され、この物件は一度、手の届かないところへ行ってしまいます。

その後も別の候補を並行して探していたところ、数カ月後、先に申し込んでいたテナントの事情で再び空きが出たとの連絡が入りました。

こうして巡り巡って、現在のフロアを確保。2025年4月から数えて、約9カ月。長い選定期間でした。

でも、Grafana Labsのカルチャー 「透明性、オープンであること、自律的に動くこと」を空間として表現できる場所を妥協しなかったことは、EBCを形づくっていく上で最も重要な判断だったと思っています。

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設計思想 ── Grafanaのカルチャーを空間で表現する

スケルトン天井と開放的な内装

通常のオフィスやテナントスペースでは、天井が整えられ、配管や配線は隠されています。

EBCでは逆に、天井をすべて抜いたスケルトン仕上げを採用しました。むき出しの配管、見える配線。それ自体が、Grafana Labsの「見えるものをオープンにする」という思想の表現です。

オブザーバビリティ、つまり「見えること」を事業の核にしている企業が、空間そのものでもその考え方を体現する。これは意図的な設計判断です。

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3つのエリアと空間設計のこだわり

空間は、大きく3つのエリアで構成されています。

1つ目は、Grafana Labsのカルチャーに気軽に触れていただけるエリア。

大型スクリーンを設置し、Grafana Labsがどんな会社で、何を大切にしているかを映像などを通じてご覧いただけます。

2つ目は、Grafanaのソリューションに直接触れられるエリア。

デモ画面を見ながら説明を受けたり、実務的な内容について直接やりとりしたりできる空間です。画面越しではなく、同じ場所でソリューションを体験していただく。

3つ目は、個室の会議室。

リラックスした雰囲気の中で、じっくりとお話しいただける空間です。どのエリアにも共通しているのは、「気軽に立ち寄って、Grafana Labsのメンバーと直接お話しいただける」という設計思想。お客様の緊張がほぐれるような、安心感のある空間をベースにしています。

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インテリアと可変性

インテリアの配置や色味の選定も、いわゆるオフィス然とした硬さは避けました。自然とリラックスして、対話が生まれるような空間づくりにこだわっています。EBCの家具は、できる限り可動式のものを選んでいます。

日常はワークスペースとして使われる8人用フリーアドレスデスク(各席にモニター完備)や、窓際のベンチシート、ハイテーブルカウンターなどが並びますが、ミートアップやコミュニティイベントの際にはこれらを壁際に寄せ、50人規模の集まりにも対応できるオープンスペースに変えられる構成です。

固定ではなく、可変。用途に応じて空間自体が形を変える。それが、EBCの設計コンセプトの根幹にあります。


会議室の名前 ── 琥珀、翡翠、御影

会議室は全部で3室。もともとあった1室を活かしつつ、壁の半分を残して新たな仕切りを設置し、3つの部屋をつくります。

リモートファーストのGrafana Labsにとって、物理的な会議室を持つこと自体が初めての経験です。「東京」「銀座」「京都」といった地名案、「神田」「天神」といった祭りをテーマにした案など、さまざまなアイデアが出ました。

最終的に選ばれたのは、日本の石・鉱物の名前でした。

「琥珀」「翡翠」「御影」

鉱物は、長い長い年月をかけて地中で形作られていくものです。見た目の美しさはもちろんですが、チームが惹かれたのはむしろ、その時間の重みの方でした。

私たちがこの場所で目指しているのは、お客様とともに長く在り続けること。一度きりの接点ではなく、時間をかけて関係を築いていく。

そしてもう一つ、日本につくる場所の名前であるということ。響きそのものが耳に馴染み、自然と受け入れられる。グローバル企業でありながら、この場所が日本に根を下ろすものであることを、名前からも感じられるようにしたい。そんな思いが込められています。


解体工事 ── 壁がなくなり、空間が現れる

もともとの状態

このフロアは、もともと3つのテナント向けに3部屋に仕切られた状態で仕上げられていました。エアコンも設置済みで、すぐに入居できる状態。開放的なワンフロアにするために、まずは3つの部屋を仕切る壁を取り壊すところから始めました。天井も、よりオープンなGrafanaのカルチャーを体現するスケルトンへの変更が必須でした。

Decorative image取り壊し前の図面:1フロアに3つの部屋がある状態

Decorative image取り壊し前

Decorative image取り壊し後

2枚あった壁が無くなり、開放的な空間になりました。


現在の状況と、これから

2026年3月現在、解体工事は完了しています。壁が取り払われ、天井が抜かれた、広いワンフロアの空間が広がっている。柱出しも終わり、ここからいよいよ、デザインに沿った内装工事が本格的に始まります。

完成目標は4月下旬。検査と手直し期間を経て、実際に始動するのは5月中旬の予定です。来週からは、壁の新設、床材の敷設、設備の据え付けと、日々空間が変わっていくフェーズに入ります。


次回予告

壁が立ち、床が敷かれ、配線が通り、モニターが据え付けられる。図面の上にあったものが、現実の空間として形になっていく。

次回は、施工中の現場レポート、デザイナー・施工会社との調整、備品選定の裏側など、工事のリアルをお届けします。