
本当に使えるChatOps: Grafana Cloud × Slack × AIで実現するオブザーバビリティ
コンテキスト切り替えは単に非効率なだけではありません。切迫した状況では、心身を消耗させます。判断は鈍り、ミスは増え、どれだけ経験を積んだエンジニアであっても「システムに追いつけていない」という焦りがつきまといます。
Grafana Labsが目指すのは、今ある業務フローにシームレスになじむツールです。だからこそ、コンテキスト認識型AIアシスタントであるGrafana Assistantを、Grafana Cloudに直接組み込みました。こうした背景から生まれたのが、Grafana Cloud app for Slackです。普段チームがやり取りしているSlack上で、オブザーバビリティやインシデント対応をそのまま行えるように設計されています。
現在パブリックプレビュー中のこのアプリを使えば、Grafana Cloudのメトリクス、ログ、アラート、インシデント対応ワークフローをSlackに直接つなげることができます。リンクの共有やくり返しの質問、「今システムで何が起きているのか」を把握するためだけにツールを行き来する時間、そうした無駄を大幅に減らせます。
インシデント対応は、なぜこんなに大変なのか
インシデント対応を経験したことのあるチームなら、こうした展開は日常茶飯事ではないでしょうか。誰かがSlackにダッシュボードのリンクを貼り付ける。別の人がログの断片で返信してくる。「さっきのデプロイと関係ありますか?」「恐らく...」スレッドが混線していく。そこにまた新しいアラートが割り込んできます。
チームはすでにSlackに集まっているのに、それでもインシデント対応がもたつくのは、共有されるべき情報と認識が揃っていないからです。
現代のエンジニアリングチームが抱える課題は、データの不足ではありません。データの分散です。メトリクスはここ、ログはあちら、トレースはまた別の場所、アラートはさらに別の場所。インシデント発生時にこれらを行き来する認知的な不可や、オペレーションのコストはあっという間に重くのしかかります。
日常的に人が集まる場所だったからこそ、Slackは自然と意思決定の場になりました。しかし、インサイトが得られる場所だったかといえば、長い間そうではありませんでした。ChatOpsが掲げた理想は、チームが普段やり取りしている場所にオペレーション業務を統合すること。しかし現実は、専用コマンドと限られたインテグレーションの組み合わせにとどまりがちでした。特定の場面では力を発揮しても、現代のシステムの複雑さの前には、なかなかスケールしなかったのです。
チームがシステムを理解するのを助けるAI—Slackで
ここで登場するのがGrafana Assistantです。Slack上で直接利用できるようになったGrafana Assistantは、インシデントの進行中に生じる認識のギャップを、ツールの切り替えやコラボレーションの流れを中断することなく埋める手助けをします。ダッシュボードを手作業で掘り下げたり、ツール間を行き来したりする代わりに、Slack上で「@Grafana」とメンションするだけで、エンジニアは自然言語を使って状況を把握し、次のアクションを判断できます。
たとえば「システム全体の状態はどうなっている?」と聞いてみてください。Grafana Assistantが、直近のエラーレート、異常な挙動、関与の可能性が高いサービスを簡潔にまとめて返してくれます。さらに、次に確認すべき問いも提示してくれます。

何が起きているかを把握するのは、インシデント対応の一部にすぎません。次に出てくるのは「誰に対応を依頼すべきか」という問いです。同じSlackの会話の中から、特定チームのオンコールスケジュールを確認できるため、コンテキストを失ったり対応を遅らせたりすることなく、関係者との連携を進められます。

Slackでの質問がすべてアクティブな障害に関するものとは限りません。多くの場合、エンジニアはプラットフォームそのものについて知りたいのです。機能の仕組み、利用可能なオプション、効果的な使い方など。Webサイトやドキュメントを検索するために集中を切らす必要はもうありません。Grafana Assistantに聞けば、Grafana Cloudに関する一般的な質問にも、Slack上で分かりやすく実用的な回答が得られます。

Grafana Assistantはダイレクトメッセージでの利用も可能です。共有チャンネルにノイズを増やすことなく、自分だけの場所で気軽に質問を投げたり、仮説を試したり、理解を深めることができます。

スマートフォンのSlackからも利用可能です。移動中でもアラートを確認し、何が変わったかを把握し、次に何をすべきか判断できます。

Grafana Assistantは汎用的なLLMの知識だけで動いているわけではありません。あなたのGrafana環境を理解し、実データに基づいた回答を返します。ここで目指しているのは魔法のような回答ではなく、より速い状況理解です。AI を支援的なレイヤーとして位置づけ、チームが状況を把握し、可能性を絞り込み、本当に注力すべきポイントに集中できるよう支援します。
既存のインシデント対応ワークフローに対応
今回リリースしたSlackアプリは、既存の Slack 用 IRM 統合を再構築したものです。すでにこの統合機能を使用しているチームにとって、既存のIRM機能はこれまで通り問題なくご利用いただけます。Grafana Cloudアプリをワークスペースに接続すると、次のことが可能になります。
- 発生したアラートや通知をSlackチャンネルで直接受け取り、重要なイベントをリアルタイムで把握
- エスカレーションチェーンとオンコール通知を設定し、適切なタイミングで適切な担当者へ通知
- Slackを離れずに、アラートグループの確認・対応・メモの追加が可能
- インシデントごとに専用チャンネルを自動作成し、タイムラインの更新を投稿。対応チームに集中してコラボレーションできる場を提供
- スラッシュコマンドでインシデントを操作し、Slack上でインシデントのライフサイクルを直接追跡・管理
Grafana Cloud app for Slackの新機能により、これらのワークフローがさらに強化されます。以下のような改善された体験の恩恵を受けることができます。:
- ダッシュボードとパネルのリンク展開:Grafanaへのリンク(ダッシュボード、アラート、インシデントなど)を貼ると、プレビューカードが自動で表示されます。チームはURLの中身を確認するために費やす時間を減らせます。

- インシデント作成モーダルの刷新:Slack内でガイドに沿ってインシデントを作成・設定できるようになりました。対応の初動からスムーズに、チーム全体の認識を揃えられます。

数クリックで導入完了
Grafana Cloud app for Slackの導入方法はシンプルです。まず、Grafana Cloudで Alerts & IRM > IRM > Integrations に移動し、Slackを選択して「Install integration」をクリックします。Slackにリダイレクトされたら、ワークスペースでアプリを認証し、デフォルトチャンネルを選択すれば完了です。接続後は、Slack内でアラートの送信、通知の管理、インシデント対応のコラボレーションをすぐに始められます。
チームの働き方に寄り添うChatOpsへ
良いツールとは、新しい習慣を強いるものではありません。今ある習慣にそのまま馴染むものです。Slackはエンジニアが問題を話し合い、仮説をぶつけ合い、次のステップを揃える場所。そこにオブザーバビリティとAIのインサイトを直接持ち込むことで、Grafana Cloud app for SlackはChatOpsが本来目指していたビジョンを実現します。
これが私たちの考える「実際に役立つAI」です。実用的で、説明力があり、人間の意思決定を置き換えるのではなく、支えるために設計されたAIです。
Grafana Cloudは、メトリクス、ログ、トレース、ダッシュボードなどを最も手軽に始められるプラットフォームです。充実した無料プランに加え、あらゆるユースケースに対応するプランをご用意しています。今すぐ無料でサインアップしましょう!
FAQ: Grafana Cloud app for Slack
Grafana Cloud app for Slackとは何ですか?
Grafana Cloud app for Slackは、SlackワークスペースとGrafana Cloudアカウントを接続する統合機能です。オブザーバビリティデータ、アラート、インシデント対応ワークフロー、AIによるインサイトに、Slack上から直接アクセスできるようになります。
Grafana Cloud app for Slackの公式ドキュメントはどこにありますか?
Grafana Cloud app for Slackの詳しい始め方については、ドキュメントページをご覧ください。
Grafana AssistantはSlackでどのように動作しますか?
Grafana Assistantでは、Slackで@Grafanaとメンションすることで自然言語で質問できます。ダッシュボードを取得したり、問題を調査したり、クエリに基づいてインサイトを提示したりできます。
Grafana Cloud app for Slackでインシデントを管理するにはどうすればよいですか?
Grafana Cloud IRMがスタックで有効になっていれば、Slack上で直接インシデントを管理できます。スラッシュコマンドや自然言語での入力を使って、インシデントの宣言・更新、インシデントチャンネルの自動作成・管理、役割の割り当てや対応者の調整、オンコール担当者やチームへのエスカレーション、インシデントのステータスやタイムラインの追跡など、さまざまな操作が可能です。
Grafana Cloud app for Slackを使用するにはIRMユーザーである必要がありますか?
いいえ、Grafana Cloud app for Slackのインストールや利用にIRMユーザーである必要はありません。Slackアプリを通じて、誰でもGrafana Assistant(@Grafana)を利用できます。ただし、IRM固有の機能にはIRMへのアクセスが必要です。以下のような機能を利用する場合になります。:
- インシデントの宣言・管理
- オンコールローテーションへの参加
- インシデントのエスカレーションやユーザーへのページング(呼び出し)
- インシデントの役割割り当てやワークフローの管理
次の条件を満たす必要があります:
- スタックでGrafana IRMが有効であること
- Grafana Cloudで適切なIRMロールと権限が割り当てられていること
詳しくは、ドキュメントのManage on-call and incident response from Slackセクションをご参照ください。
Grafana Cloud app for SlackをAIなしで使用できますか?
Grafana Cloud app for Slackを使用する際、AIの使用は完全にオプションです。AIは、@Grafanaとメンションすることで、Grafana Assistantとやり取りすることを選択した場合にのみ使用されます。
Slackアプリは、AI機能なしで以下のことに使用できます:
- インシデントとオンコールワークフローの管理(適切なIRM権限がある場合)
- /grafana スラッシュコマンドの使用
Assistant(@Grafanaメンション)を使用しない場合:
- AI駆動のやり取りは発生しません
- Slackアプリは標準的な連携として機能します
Grafana Cloud app for Slackの使用に追加費用はかかりますか?
Grafana Cloud app for Slackは、無料プランを含むすべてのGrafana Cloudプランに含まれており、アプリのインストールや利用がGrafana Cloudの請求に別項目として追加されることはありません。
既存のGrafana IRMユーザーの場合、Slack経由でのインシデント対応やオンコール機能の利用に追加費用は発生しません。アラート、通知、Slackベースのワークフロー自体にも追加料金はかかりません。IRMをご利用でない場合、Slackアプリのインシデント対応機能はご利用いただけません。
パブリックプレビュー期間中は、Slack経由でのGrafana Assistant(@Grafana)の利用はアクティブなAssistant使用量としてカウントされないため、無料でご利用いただけます。