
AIエージェントにスキルを追加:Grafana Assistant Playbookで回答と調査を高速化
Grafana Assistantは、私たちがダッシュボードを提供して以来、最も汎用性の高いツールです。ユーザーはGrafana CloudのLLMを活用して、自分たちの技術スタック内の不慣れな領域を理解したり、瞬時にダッシュボードの生成を行ったり、データを美しく可視化したり、クエリを作成したり、調査を手助けしたりしています。
これらは新規プロジェクトや新しいユーザーのオンボーディングには最適ですが、長期間にわたり大規模なシステムを運用している組織についてはどうでしょうか? それはつまり、自社固有のシステムをどう運用し、デバッグすべきか、複雑な知見を持っている人たちのことです。
そうしたチームを含め、より多くのチームが既存のオブザーバビリティの実践にAIを取り入れられるよう、新機能「Playbook」(現在パブリックプレビュー中)をリリースしました。Assistantがメトリクスなどのテレメトリデータを学習し、その知識をエンジニアのスキルアップに活かす能力を活用することで、独自のデバッグ手法をGrafana Cloudへ直接組み込むことが可能になります。
これは単なるタスクの自動化ではありません。組織が持つSREの集合知を、運用可能な形にするということです。これにより、エージェントはより効果的にインサイトや回答を提供できるようになり、将来のインシデント調査をより速く、一貫性のあるものにできます。
この記事では、Playbookの仕組みを簡単に解説し、実際のユースケースを掘り下げ、最大限に活用するためのベストプラクティスをご紹介します。
Playbooksがチームにもたらすメリット
Playbookはシンプルなドキュメントで、タイトルと本文で構成されています。これらが組み合わさることで、エージェントが従うべき有用なガイドや指示書となります。ダッシュボードやメトリクス、あるいは他のPlaybookといった特定の項目に言及することも可能です。

Playbookを使うと、以下のことができます:
- 自然言語で記述する: わかりやすい言葉で指示を記述できます。既存のランブックからコピー&ペーストすることも可能です。
- コンテキスト(文脈)を添付する: 関連するGrafanaダッシュボード、PromQLやLogQLクエリ、ラベルなどをPlaybookのステップに簡単に添付できます。他のPlaybookを参照することも可能です。
- コマンドを作成する: 複雑な調査フローを、/check-cart-timeoutsのようにチャットから直接実行できる、再利用可能な単一のコマンドに変換できます。
ガイダンスのレベル(粒度)はあなたが決定し、常にコントロールできます。あるタスクでは役立つヒントを提供するだけに留め、別のタスクではエージェントがすべきことをステップバイステップで詳しく指示することもできます。Playbookを自分だけのワークフローに限定するか、チーム全体で共有するかも選択可能です。
ユースケース1:サービス調査のノウハウをシステムに組み込む


Carousel with 2 slides. Use previous and next buttons to navigate.



Playbookをチャットコマンド化することで、複雑な多段階のフローをたった一つのメッセージでトリガーできるようになり、実行が迅速かつ簡単になります。

/check-cartと入力するだけで、Assistantはこの詳細なPlaybookに従い、構造化された実用的な回答を返します。

始めるには、Grafana Assistantの3点リーダーメニューから「Playbooks」を選択します。ここで新しいPlaybookを作成したり、他のPlaybookを読んだりできます。また、「Try it now(今すぐ試す)」セクションを使って、プロンプトが必要な内容をカバーしているかテストすることも可能です。
「Visible to agents(エージェントに公開)」のトグルを有効にすると、有効化されたPlaybookはセマンティック検索サービス(意味ベースの検索網)に追加されます。これにより、Playbookに書かれている言葉と検索時に使用されたキーワードが完全に一致していなくても、エージェントはコンテンツを素早く見つけられるようになります。エージェントに公開されたPlaybook内の情報は、ユーザーがそのPlaybookを直接指定していなくても、AIエージェントによって自動的に活用されます。Playbookを追加すればするほど、全員の体験が向上していく仕組みです。
ヒント: 既存のランブックから関連するセクションをコピー&ペーストできます(ただし、Assistantにとって意味の通る指示である必要があります)。
Assistantのスキルとコマンド
「Enable slash command(スラッシュコマンドを有効化)」トグルをオンにすると、このPlaybookをAssistantのチャット内からオンデマンドで実行できるようになります。これは、コーヒーを飲みながら「朝のヘルスチェック」を行うように、再利用したいプロンプトがある場合に便利です。
Playbookは自然言語のテキストファイルにすぎないため、エージェントの挙動に影響を与える方法は無数にあります。


Grafana AssistantのPlaybook画面
PlaybookとRulesの違い
「Assistant Playbook」と「Assistant Rules」の違いについて、疑問に思う方もいるかもしれません。簡単に違いについて説明しましょう。
Rulesは常に適用されるのに対し、Playbookはユーザーの入力内容やエージェントの調査結果に応じて、その都度自動的に選び出されます。
- Rules: 決して変わらない重要な事項に使用します
- Playbook: エージェントの知識やガイドラインの管理に使用します
- コマンドの実行: Playbookはコマンドとしてオンデマンドで実行することも可能です
また、「段階的開示(progressive disclosure)」という新たなパターンも登場してます。これはスキル機能ですでに実装されているものです。Rulesには大まかな概要(例:「これを処理するにはこのPlaybookを使用する」)を記載し、Playbookには詳細な情報を提供する、という使い分けです。
他のことと同様に、実際のデータを使って試してみることをおすすめします。エージェントを思い通りに動かすためには、それが一番の近道です。
Playbookのベストプラクティス
最後に、Playbookを最大限に活用するために、今すぐ役立つベストプラクティスとヒントをまとめました。
シンプルかつ明確に保つ
Playbookはシンプルで曖昧さのない言葉で記述しましょう。エージェントが正しく理解できるよう、指示を明確にすることが大切です。適切な箇所では「@」を使ってコンテキスト(文脈)を言及してください。
また、Playbookは小さく焦点を絞ったものにすべきです。ただし、Markdownファイルは見出しによってセクション分けされるため、1つのPlaybookに複数のセクション(各アラートごとの小見出しなど)をまとめるのもOKです。
実際の調査を通じてPlaybookを改善し続ける
Playbookは静的なチェックリストではなく、生きたドキュメントです。最新の状態に保つ最も効果的な方法は、重大なインシデントや難しい調査の後に見直し、更新することです。インシデントの後、インシデントのタイムラインやチャットの記録を現在のPlaybookと一緒にAssistantに貼り付け、こう尋ねてみてください。「今回即興的に行った手順のうち、Playbookに追加すべきものはどれですか?」
このアプローチにより、ガイダンスを変更するタイミングは人間が主導権を持ちつつ、ギャップや分かりにくい表現、不足しているアラートやダッシュボードの特定にはAssistantの力を借りることができます。
実験する
Playbookは、ワークフローの効果的なガイドと効率化につながるか十分に確認してから共有する必要があります。そのためには、慎重に作成し試行錯誤する必要があります。Playbookの作成者は、自分自身と自分のエージェントにのみPlaybookを公開することで、十分に検証し準備をしてからチーム全体にPlaybookを展開することができます。
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